皆さんは国税に関する文書送達方法の一つである差置送達をご存知でしょうか?そもそも読み方が分からない!という方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、そんな差置送達(さしおきそうたつ)の方法と有効性、その効力について解説していきます。
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文書送達の種類と方法
国税に関する文書送達の原則については国税通則法第12条第一項において定められており、税務署⻑等が発する国税関係書類は、送達を受けるべき者の住所や居所に送達することとされています。
送達の方法については通常普通郵便で行いますが、重要度が高い加算税の賦課決定通知書等には書留等を用いることとされています。ただし、書留等の受取りを意図的に回避しようとする納税者に対しては、税務職員が納税者の住所に出向いて書類を直接手渡す“交付送達”という手段が取られます。
その上で、交付送達においても直接手渡しが難しい一定の場合には、送達すべき場所に書類を差し置くことで効力が生じる“差置送達”という方法が認められています(国税通則法第12条第五項第二号)。
交付送達や差置送達が行われるケースとしてよく見られるのが、税務調査の結果行われる課税処分についてです。皆さんは税務調査を受けたことはありますか?税務調査において、当局と納税者である私たちとの間に「見解の相違」(脱税等のニュースでよく見かける言葉ですね!)が生じた場合、更正等の課税処分を受けることとなります。
この際、当該課税処分に関する書類を納税者に交付する必要があるのですが、処分に納得しない納税者は郵便で文書が届いても受け取りを拒否する事があります。そのため、税務職員が納税者の住所に出向いて直接文書を手渡す交付送達が行われるのです。
この場合において、その場所にいるにも関わらず書類の受領を拒んだときには、納税者の郵便受け等への投函する差置送達をもって当該処分の効力が生じるとされています。
納税者が直接文書を受け取るか否かに関わらず課税処分の効力が生じるわけですから、受け取りを拒否しても結果は同じという事になりますね。
差置送達の有効性と正当な理由
差置送達の有効性については議論のあるところです。
まず、先に述べた「交付送達においても直接手渡しが難しい『一定の場合』」について見ていきたいと思います。ここでいう「一定の場合」とは、送達を受けるべき者が送達場所にいない場合や正当な理由なく書類の受領を拒んだ場合を指します。
これまでにおいては、どのようなケースで差置送達が有効もしくは無効となるかの基準がわかりにくい部分がありました。
この点について、令和2年10〜12月分の公表裁決事例では、簡易迅速に送達して処分の効力を生じさせる必要性などの制度趣旨等を鑑みて、⻭科医院を営む請求人が差置送達のために来訪した職員を認識しつつも、診療中を理由に受領を拒んだのは正当な理由に当たらない、すなわち「一定の場合」に当たると判断されました。
差置送達の効力
差置送達の効力はいつ発生するのでしょうか?
国税通則法基本通達12-10では、送達の効力発生時期について「その書類が社会通念上、送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められるときに生じる」と規定されています。
ここで「送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められるとき」とはどういう状態なのかがキーポイントになりますが、公表裁決事例によると「書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時」となっています。具体的にいうと、名あて人の郵便受けに投函された時と捉えて問題ありません。
なお上記基本通達には、いったん有効に書類が送達された場合には、たとえその書類が返戻されても送達の効力には影響がないとされています。
差置送達まとめ
差置送達の方法と有効性、正当な理由及びその効力について解説してみました。
さらに詳しく調べたい方向けに、差置送達に関連する条文・通達について以下にご紹介しておきますのでご参照ください。
差置送達に関連する条文・通達
国税通則法第12条第一項
国税に関する法律の規定に基づいて税務署長その他の行政機関の長又はその職員が発する書類は、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便による送達又は交付送達により、その送達を受けるべき者の住所又は居所に送達する。ただし、その送達を受けるべき者に納税管理人があるときは、その住所又は居所に送達する。
同条第五項
次の各号の一に掲げる場合には、交付送達は、前項の規定による交付に代え、当該各号に掲げる行為により行なうことができる。
一 送達すべき場所において書類の送達を受けるべき者に出会わない場合 その使用人その他の従業者又は同居の者で書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付すること。
二 書類の送達を受けるべき者その他前号に規定する者が送達すべき場所にいない場合又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合 送達すべき場所に書類を差し置くこと。
国税通則法基本通達12−10(送達の効力発生時期)
書類の送達の効力は、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下にはいったと認められるときに生ずる(昭和29.8.24最高判)。
なお、いったん有効に書類が送達された場合には、たとえ、その書類が返戻されても送達の効力には影響がない(昭和25.6.3広島地判、昭和17.11.28大判)。
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